前回の記事で「ねんねトレーニングの3大要素」の1つでお伝えした『生活リズム』。
月齢に関係なく、今すぐ整えていくべき基本ポイントから始めましょう!
生活リズムが原因の夜泣きの特徴
・全体的に眠りが浅く、睡眠サイクルに関係なくちょくちょく起きる
・寝つきが悪い(眠る前にグズる・遊びたがる)
・日中の機嫌が良くない
・お昼寝が安定しないorお昼寝のし過ぎ
生活リズムがその子の体力や発達に適していない状態が続くと、「寝ぐずり」や「お昼寝がうまくいかない」という状況に陥りやすいのが特徴です。
眠りのメカニズムとは?
人間は昼行性の生物です。
日が昇ったら活動を始め、日が沈んだら心身を休息させるというのが基本のリズム。
つまり、太陽と共に活動を行う習慣があるということ。
人間の自然なリズム「体内時計」
太陽は、光や熱として私たちに刺激を与えます。
光を浴びると「あ!朝だ、起きよう。」
暗くなると「もう休息の時間だ、眠ろう。」
と脳で調整を行うのが【体内時計機構】です。
体内時計は脳の真ん中の視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分にあり、体温やホルモン等の個々のリズムがバラバラにならないようにする「指揮者」のような働きをしています。
また体内時計は24時間より少し長いリズムを刻み、人は太陽の光で毎朝リセット(同調)しながら生活しています。
このリセットが重要なポイント。
朝日を浴びることで「活動を始めよう!」と脳が動き出します。
ちょっとのんびり屋さんの脳を、太陽の光が24時間のリズムに整えてくれるイメージです。
目覚めることで、活動の為のホルモン分泌(セロトニン)が盛んになって1日が元気にスタート!
そして、太陽光を浴びてから約14時間後に眠くなるホルモン(メラトニン)の分泌が高まり、自然と眠くなってきます。
これが、早寝早起きのメカニズム。
私たちは「今日は〇時間寝たわ~」など睡眠時間はよく数えますが、生活リズムで大切なのは活動時間とそのタイミング。
順番に言うと、早く起きたから早く眠くなる。
だから、遅起きはその日の夜も遅寝になってしまうということ。
朝起きる時間で夜眠くなる時間が決めていたとは!
だから、夜の寝ぐずりの原因は夜の問題ではなくて、生活リズムから見直しが必要ということですね。
ホメオスタシスとは?
少し余談になりますが、体内時計による「夜になると眠くなる」という睡眠以外に、もう1つメカニズムがあります。
それは「疲れたから眠くなる」こと。
人間には恒常性維持機構(ホメオスタシス)があり、睡眠物質(アデノシン・プロスタグランジン等)が蓄積されると、夜でなくても眠くなる原因になります。
赤ちゃんにとってはお昼寝。
まだ体力の少ない赤ちゃんは、昼間も数回~1回お昼寝することによって心身の状態を維持しています。
大人でも寝不足だったり、活動量が多かった日(海水浴やスポーツ等)は昼食後や帰宅する電車内でウトウト…なんてこともありますよね。
恒常性維持機構(ホメオスタシス)は、環境が変化しても体の状態を一定に保とうとする生体的働きのことをいいます。
・暑いと汗をかいて体温調整をする
・ケガをしても自然治癒する
・ダイエットの停滞期
これらもホメオスタシスの働きです。
環境の変化(寒暖・ケガ・急激な体重減少etc)の影響を受けたままだと危険なもの。
だから「元の状態に戻ろう!」と脳が信号を出してくれているんですね。
人間が身を守るための重要な働きなので、お昼寝も赤ちゃんの成長に欠かせないリズムです。
そして「日中たまらなく眠い…。」というママは、脳からの「睡眠が足りてないよ!寝てー!」というSOSなので、産後なかなかままならない生活ですが、自分の健康のためにも眠れる生活を整備しましょう!
どうしたら眠くなるの?
では具体的にどうしたらよいのか。
まずは前述の通り、「朝起きた時間が、夜眠くなる時間を決める」ので起床時間のコントロールから始めましょう。
新生児期は胎児期と似た睡眠リズムですが、産まれた後は『光』を感じて昼夜の区別を知り、生後7週目(生後2か月頃)にはメラトニンの分泌が夜に高まるように。
生後3か月位までは夜間授乳や慣れないお世話に追われますが、
出生後すぐから【朝昼は明るく・夜は静かに暗く】を意識した環境作りが、「世の中には昼と夜があるんだよ」と赤ちゃんに教えることに繋がります。
朝は眠くて…という気持ちは痛いほどわかりますが(私も夜泣き経験ママです)、
ここは踏ん張って、起床時間を毎日固定する!のがポイント。
・起床時間を決める
・平日と休日で起床時間をズラさない
が原則です。
生活リズムを整える3つのステップ
朝から就寝までの眠りのための行動ポイントは3ステップ。
ステップ① 朝は7時までに起こそう!
起床時間の推奨としては7時ですが、ご家庭の事情に合わせてOKです。
夫婦の出勤時間・保育園の登園・元々の習慣などを加味して決めましょう。
ママパパの負担にならない程度に、6時~遅くても8時の間に設定を。
起床時間になったら、
●カーテンを開けて、光の刺激で覚醒を促す
●曇りや雨の日もカーテンを開け、電気をつける
●夜泣きや前日の就寝時間が遅れて睡眠不足の場合は、起床時間に1回起きた後に午前寝(朝寝)で睡眠を補う
せっかく眠っているのを起こすのは抵抗があるかもしれませんが、そのまま寝かせてしまったらその日の夜も寝ぐずりで苦しむ原因になります。
「今は眠りを整える期間。」と考えて下さいね。
ステップ② 日中は活動的に・お昼寝時間を調整
日中は、特に午前中にカラダを動かす遊びを採り入れましょう!
保育園でも午前は外遊び(体を思いきり動かす)、午後は室内遊び(制作や絵本など)で活動するのが定番です。
歩き始めた子は、午前中にお散歩や公園遊びに行くのがベスト。
歩く前の0歳期は、ママと手遊びをしたりベビーマッサージを楽しんだり。抱っこ紐やベビーカーでお散歩するのもオススメです。
また、成長に合わせてお昼寝の調整も大切です。
《お昼寝の目安》
生後4か月頃~ | 1日3回 |
生後8か月頃~ | 1日2回 |
1歳3か月頃~ | 1日1回(午後の昼寝のみ) |
※お昼寝の回数や時間は、体力や体調、その日の活動量によって変化します。
重要なのは、お昼寝(複数回する場合はその日最後のお昼寝)から起きる時間です。
できれば15時、遅くても16時台には起こすようにしましょう。
(保育園では14:30~15:00にはお昼寝を終わりにします)
夕方以降に眠ってしまうと夜の睡眠に影響してしまうので、ここも踏ん張りどころです!
ステップ③ 寝る前3分のイチャイチャタイム
就寝前はルーティン(習慣)化していくとスムーズになります。
●20時までには寝かせる(遅くても21時)
●寝る前30分は薄暗いオレンジの明かりで→寝る際っは真っ暗に
●ゆったりと穏やかに過ごす
就寝前の授乳がある時期はゆっくりと授乳したり、絵本を読んだり、その日あったことをのんびり振り返ってみたり。
まだ言葉を話す前のお子さんでも、ママ(パパ)が優しく話しかけましょう。
今日楽しかったこと、一緒に居られて嬉しい気持ち、明日もいいことがたくさんあるよ~♪とポジティブな声掛けをしてその日を締めくくりましょう。
「さっさと寝てくれー!」という気持ちはリビングに置いてきてくださいね(笑)
眠りの質を上げる秘訣は朝から始まっている
生活リズムを整えるスタート地点は朝。
朝の起床と午前の活動が、夜自然と眠くなるリズムを作ってくれます。
「ちゃんと寝かしつけできなくて…。」
「夜、寝てくれなくてイライラしちゃうんです。」
というママからのご相談はとても多いです。
ママが罪悪感をもつ必要はありません。
寝るか寝ないかは子ども本人(の脳)が決めること。
親は「適切な時間に適切な環境を用意する」ことが役目です。
まずは、起床時間を決めるところから始めてみてくださいね!